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2011年度第1回研究集会


【テーマ】
   「アーキビスト資格制度の実現に向けて:学会提案を議論する」

【開催日・開催場所】
   2011年7月16日(土)  学習院大学  (参加者は60名)
 
【趣旨説明】
  高橋 実(日本アーカイブズ学会会長)

【意見発表】
 (1)宮間純一氏(宮内庁書陵部図書課宮内公文書館公文書調査室内閣府事務官研究職)
 (2)西川康男氏(ARMAインターナショナル東京支部会長)
 (3)金 慶南氏(法政大学サステイナビリティ研究教育機構環境アーカイブズ准教授)
 (4)井口和起氏(京都府立総合資料館顧問、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会会長)

【全体討論】
 4人の方々の意見発表の要旨は次の通りであった。

(1)宮間純一氏
  ・アーキビスト資格を持つ人を増やすだけでなく、その先の就職につながる体制の整備を他機関と協力して進めてほしい。
   そのため、資格を持つメリットを雇用者側に対して示し、就職のパスポートとなってほしい。
   将来は国家資格になるよう、未来へのビジョンを示してもらいたい。
  ・資格が、雇用者側が求める何らかの特別な能力を有する人材であることを担保するものであってほしい。
  ・大学生が在学中に取得できる区分を作る等、資格に段階を作る必要があるのではないか?
   また、段階的な取得のための研修等を学会が行なう必要がある。また大学院修了後にインターンシップのような制度を確立し、
   勤務年数に換算できる体制を作っていく必要があるのではないか?
  ・学会の正会員であることを申請の条件としていることは、すそ野を広げることが必要なこの時期において、適当なのか疑問がある。

(2)西川康男氏
  ・提案は妥当。国家資格をまず作ることは望めないゆえ、意識を持っている団体が引っ張ることが重要。その先頭を切ってほしい。
   資格認定のための別組織・制度を設け、世の中からその組織が評価されることが重要。
  ・国際基準をふまえ、世界的に通用する専門知識と能力を有するアーキビスト資格となるよう、大学院での教育科目などについてさらに検討してほしい。
   情報処理論、記録管理論は刻々と変化するので、他組織との交流を図り、現時点での必須要件を反映できる仕組みをかたちにすることが必要。
   それは学会や資格の評価にもつながる。

(3)金 慶南氏
  ・アーキビストが携わる分野は広い。何の仕事をするのかは重要だが、最も重要なことは、法律でアーキビストの専門資格について定め、
   全国的に記録管理とアーカイブズの仕事を認知させること。韓国でも専門資格を法制化するために、長いたたかいが必要だった。
   日本でもそのような方向でがんばってほしい。
  ・「一定の実務経験」(提案(4))について、館の規模に違いがあるのでレベルを決めたほうがよりよいのではないか。
   レベルアップを図れるかたちになるのがよいのではないか。

(4)井口和起氏
  ・公文書館的機能をどれだけ増やしていくかに重点を置いて全史料協は運動を行なっている。
   それを助けるような資格となるのかを学会として議論してほしい。そうしないと就職のパスポートにならない。
  ・資格の創設期には、アーカイブズが行政や地域住民に役立つことをわかりやすくアピールできる能力が特に必要。
   そのような人材が有資格者になれば、館の大きな助けとなる。意図に反して、「資格」がアーカイブズ機能の自由な展開の阻害要因になる場合もあることを懸念している。
  ・提案が、一般行政職にも開かれたものになっていることは評価できるが、資格要件の研究業績(論文)は困難。
   何かそれに代わるものを考えてもらえれば、すそ野が広がるのではないか?
  ・学会員であることが資格申請・更新要件になっている。最初は申請者として主に研究者を想定しているのか。
  ・別表2(2)「記録管理部局」とは具体的にどのようなものを想定しているのかわかりづらい。具体的に示さないと判定が難しいのではないか。
  ・レコードマネージャーとアーキビストの関係をどのように区別するのか、あるいは統一するのかを考えてほしい。

 全体討論では、最初に高橋会長から4人の意見発表に対する感謝の発言があり、次いで「アーキビスト資格認定制度検討委員会」の座長として高橋会長に答申を提出した高埜利彦氏から、全般的な意見が述べられた。
そのあと、参加者から自由に意見や質問が出された。主なものを列挙すると以下の通りであった。

  ・資格の出発点について。最初ゆえに取りやすくすることを想定しているのか、
   最初から世界のレベルに到達しないと取れないことを想定しているのかが分からない。両方という印象がある。
  ・日本でアーキビストが受け入れられるかの境目の時期。アーキビストが何をするのかを明示する必要性がある。
   試験制度も導入する必要性があろう。
  ・アーキビストとしてこういう人材を認定するという定義を盛り込んでもいいのではないか。
   実務経験等のとらえ方や認定の根拠がまちまちで、アーキビストを知らない人が業務内容をみてわからなくなってしまう。
  ・どういう論文や業務内容が資格要件に該当するのか等の点で、審査の過程にグレーゾーンが多すぎるのではないか。どのように公平性を担保するのか。
  ・何をもってアーカイブズ学の論文とするのかが判然しない。アーカイブズ学とは何か?
  ・実務経験の認定は、申請者の申告だけでできるのか。本当に要件を備えているかの判定は厳密にすべき。
  ・アーキビストの仕事は利用者あってこそなので、そこで評価されるべきと思う。
   資格要件に利用者に係る視点を盛り込むべきではないか。そうしないとアーキビストは研究する人という印象を持たれてしまう恐れがある。
  ・実務者ベースの印象が強い。若い人が資格を取って就職はあるのか。
   学芸員や司書課程の中でアーキビストの科目を設置することで有資格者を増やすことも必要ではないか。
  ・アーカイブズ学を教えている大学のレベルは多様。アーカイブズ学教育課程の認定をどのように行うのかを考えてほしい。
  ・資格にグレードは設けたほうがいい。司書はつけなかったので資格制度が危機に瀕した。その経験に学びたい。
  ・別表2「記録管理部局」という言い方はビジネスではあまりしない。電子システムを掌っている人も入るのか。
   先進的な企業のケーススタディや新会社法等を精査すべき。
  ・民間企業勤務者にとっては、学問的な資格内容では実践的ではないと判断される可能性を懸念してしまう。
   また、企業では資料整理よりもマネジメント等が中心であり、それは違うのではといわれるのではないかという印象がある。
  ・アーカイブズ関連機関との共通認識を踏まえてから話をするべきではないか。
  ・他の資格試験の結果が、別表1の分野に反映される可能性があるが、そのような関連をどのように考えているのか。
  ・資格委員会のメンバーをアーカイブズ学会のメンバーからのみ選出するのかどうかが問題。
  ・更新制度について。別表5は実務経験を評価し、ポイントを高くするべきではないか。

 以上、フロアからの主な発言を紹介した。討論の詳細は省略するが、日本アーカイブズ学会では、現在、アーキビスト資格認定制度提案に対するご意見を広く募っているところである。
学会のホームページをご覧の上、多くのご意見をお寄せいただきたい。



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