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2002年12月7日掲載 「日本アーカイブズ学会(仮称)」発足に向けての呼びかけ
 

第二次世界大戦後,民主化の一環として,国のアーカイブズとして文部省史料館(現国文学研究資料館史料館),地方アーカイブズとして山口県文書館が設置されてから約半世紀がすぎた。この間,国立公文書館等の政府関係,約半数の都道府県,市町村,大学,日本銀行などにアーカイブズが設置されてきたが,その開設と運営にあたっては,歴史学界の支援のみならず,アーカイブズ関係機関の団体である全国歴史資料保存利用機関連絡協議会,企業史料協議会,大学史連絡協議会などの活動が大きな支えとなっていることは,多言をまたない。

 他方,アーカイブズに対する学理の場は,現在にいたるまで,はなはだ微弱なものしかもちあわせてこなかった。周知のように,日本のアーカイブズ(記録史料)は,古代以来現代にいたるまでのあいだに,膨大で多様なものが作成され,保存されてきており,それに対する研究が重要とされ,また同時に,それら遺されたアーカイブズを適切に保存し,利用に供する理論と技法も必要とされてきた。
これらに関する検討は,アーカイブズでの日々の営みのなかで,また,欧米などのアーカイブズ学(アーカイブズ・サイエンス)を積極的に取り入れ,直面する課題を解決すべく進められてきた。

 このようななかで,1990年代以降,コンピュータによる技術革新が急速に社会に浸透し,それに対応したアーカイブズ学の構築が世界的な喫緊な課題として浮上している。すなわち,今までの紙媒体主体のレコード(記録)とアーカイブズに電子記録が追加され,レコードとアーカイブズの把握の仕方が根本的に改編されはじめ,また,コンピュータ技術によりアーカイブズの保存と提供の方法が革新されつつある。
これらは,ローカルな個別具体的なアーカイブズを対象としながら,同時にグローバルなこととして提起されているのであり,この点において,日本におけるアーカイブズ学の一層の振興が必要とされている。
それは,従来までの歴史学の関連学問としてアーカイブズ学の領域が,同時代記録を扱うという点などで社会学などの研究領域とより密接化し,さらに図書館情報学など情報科学との共通領域をより拡大しながら,同時に,その学理は世界的な研究交流に依拠しつつ,かつ寄与するものへと,深化することが求められるであろう。

 日本におけるアーカイブズ学の発展を計るには,アーカイブズ学に関わる者,あるいはそれに関心を有する歴史学,社会学,法律学,政治学,経済学,経営学,情報学,保存科学,図書館学,博物館学などに関わる人々が集い,真摯に検討しあう共通の場が必要とされている,と思慮する次第である。

私たちは,日本のアーカイブズ学を一層進展させるために,ここに「日本アーカイブズ学会(仮称)」発足の文書を起草した次第である。ここで提案する学会は,アーカイブズに関心ある個人(学生や海外在留者を含む)をもって構成し,その研究領域を,(1)アーカイブズの管理に関する研究(記録史料管理論),(2)アーカイブズの成立・構造・伝来などに関する研究(記録史料認識論),(3)アーカイブズの教育・研修に関する研究(アーカイブズ教育論)とする予定である。とくに,アーカイブズ教育論を掲げたのは,日本におけるアーキビスト養成機関が非常に脆弱であるという現状を考慮しただけではなく,今後のアーカイブズ学の進展はアーカイブズ教育に密接に関連するということに着目しているからである。

 学会の活動は,年1回の総会(研究集会を含む。2日程度),学会誌の発行(当面年1回)などを検討している。学会発足に向けてのスケジュールは,今後関係機関および関係者へこの学会設立呼びかけ文を送付して趣旨を案内し,2003年10月上旬に発足準備大会を開催して学会参加予定者による学会発足趣意書,学会規約の検討をおこない,2004年4月下旬に発足大会を開催したい所存である。

 私たちは,この「日本アーカイブズ学会(仮称)」を発足することにより,アーカイブズの連合機関である諸団体との役割分担が明確化され,より大きな力が形成されると考えている。いい方をかえると,アーカイブズの学理団体とアーカイブズの経営団体,この両者が両輪となって協同することは,日本のアーカイブズの牽引力となると確信している。アーカイブズに関心ある個人および機関の方々は,私たちの提案を諒とされて,是非学会発足に参加されることを希望する。

  2002年12月7日
「日本アーカイブズ学会(仮称)」発足呼びかけ発起人  

  青山 英幸 安藤 正人 石原 一則 大藤  修 大友 一雄
  吉良 芳恵 高埜 利彦 高橋  実 戸島  昭 冨善 一敏
  永田 治樹 永村  眞 保立 道久 松井 輝昭 森本 祥子
  山陰加春夫 横山 伊徳      
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