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The Archivist第6弾 青木祐一さん(静岡市歴史博物館)

Posted on2022年9月22日2022年9月22日

【プロフィール】

1998年3月 千葉大学大学院文学研究科史学専攻 修了(修士)

2011年3月 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 単位取得退学

2004年~2011年 日本銀行金融研究所アーカイブ アーキビスト

2011年~2012年 江東区文化財専門員

2012年~2015年 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 助教

2015年~2019年 株式会社ワンビシアーカイブズ アーキビスト

2019年~2022年 秩父宮記念スポーツ博物館 専門職(アーキビスト)

2022年~ 静岡市歴史博物館 学芸員

 

2020年4月 日本アーカイブズ学会登録アーキビスト(JSAS2019003)

2021年1月 国立公文書館認証アーキビスト(JCA2020003)

 

[主な業績]

「静岡県立葵文庫とその事業 : アーカイブズの観点から」(『学習院大学文学部研究年報』59号、2012年)

「日本における民間資料の現状とこれからの課題」(『GCAS report』vol.3、2014年)

「地方自治体における公文書管理とアーカイブズ」(安藤正人・吉田裕・久保亨編『歴史学が問う公文書の管理と情報公開』大月書店、2015年)

「アーカイブズとアーキビストをめぐる3つの誤解」(『歴史学研究』)960号、2017年)

「内閣府『公文書等の管理等の状況について』を読み解く:行政文書の移管・廃棄・延長の側面からみる国の公文書管理の実態」(青木 祐一・大木 悠佑、『レコード・マネジメント』 77号、2019年)

 

1.アーカイブズ、アーカイブズ学との出会い

・歴史資料の保存や、アーカイブズ学に関心をもったきっかけは何でしたか?

修士課程在籍中に国文学研究資料館史料館(通称:国立史料館)の史料管理学研修会に参加し、当時は品川区の戸越にあった国立史料館に通ったことがきっかけです。その後、愛媛県宇和島市や京都府舞鶴市、熊本県天草市など、各地の資料調査に参加する中で、アーカイブズやアーキビストの重要性について、認識を深めました。

もうひとつの転機は、2008年に学習院大学に大学院アーカイブズ学専攻ができたことです。専攻ではアーカイブズ学について体系的に学び、研究できる環境と、志を同じくする多くの研究仲間と出会うことができました。

 

2.アーカイブズに関わる仕事内容

・これまでのお仕事、現在のお仕事の内容についてお聞かせください。

大学での専攻は日本近世史でしたが、仕事として取り扱う資料の多くは近現代の資料でした。各地の資料調査や自治体史などの仕事を通じて、地域史料の豊かさを実感しました。加えて、日銀アーカイブでは歴史的公文書の評価選別や公開審査などの業務に従事し、公文書管理法の制定もあり、公文書管理の分野にも関わるようになりました。また、民間企業(ワンビシアーカイブズ)では営業企画部門の担当として、官公庁や企業に対して記録管理、記録保存の重要性を伝える役割を担い、大変やりがいがありました。

これまで取り組んできた仕事を通じて、古文書、公文書、時代や分野、地域を問わず資料を取り扱う経験を得ることができました。これは私のアーキビストとしての大きな「強み」だと思っています。

現在は2022年度に新しくオープンする静岡市歴史博物館に、正規職員の学芸員として勤務しています。静岡はこれまで自身のテーマとして研究に取り組んできた地域ですが、豊富な歴史資料を有しているにもかかわらず、残念ながら十分なアーカイブズ機関を有していないのが現状です。博物館としての事業の重要性はもちろんですが、これまでの経験を基に静岡における資料保存、アーカイブズの問題にも取り組んでいきたいと考えています。

 

・お仕事のなかで特に重要と考えていることや、やりがい、難しさは何ですか?

社会の中でのアーカイブズとアーキビストの果たすべき役割を常に意識するように心がけています。所属する組織の位置づけや、組織内での立場によって、仕事の幅、やりすさ/やりにくさは大きく異なると思います。アーキビストとして基本的な知識やスキルを持つことはもちろん重要ですが、組織の中で慣習やしがらみに囚われることなく、専門職としてどう判断し行動するのかという「第三者としての視点」が、仕事を進める上ではたいへん重要な要素になります。その際には、仮に利害が対立した場合の記録をどう評価し取り扱うのか、アーキビストは何をすべき存在なのか、という高い倫理観が求められると思います。

その意味で、これからのアーキビスト教育においては、資料自体の取扱い方法については当然として、記載されている内容(情報)をアーキビスト自身がどう評価し、どのように説明責任を果たしていくのかという要素が非常に重要と考えています。

 

3.尊敬するアーキビスト・研究者はどなたですか?

私にアーカイブズの世界を紹介してくださったのは、安藤正人先生です。学習院大学大学院在籍中の指導教授でしたし、現在でも山梨県大月市の星野家文書調査でご一緒しており、これからもご指導いただきたいです。

また、千葉県文書館に長く居られた清水邦俊さん(現在はオーテピア高知図書館)はアーキビストとして尊敬できる先輩であり、アーカイブズ学について日常的に議論ができる心強い仲間です。

 

4.学会登録アーキビスト、学会に期待するもの

アーキビストの資格制度は私たちの長年の夢でした。現在のありかたについての是非はともかく、この制度をどのように社会に根付かせていくのか(身分の保証と質の担保、就業機会の拡大)がこれからの課題です。公共セクターについては国立公文書館の認証制度ができましたので、学会の登録アーキビスト制度は民間セクターでの専門職養成と人材提供に注力するのが良いだろうと個人的には考えています。それが、日本における豊かな民間記録の保存と活用につながることを期待します。特に電子記録管理の分野にはまだまだ取り組むべき余地があると思います。

また、学会は議論の場であることが求められます。現場で現実的課題に直面しているアーキビストの声に耳を傾け、現在の社会が抱える諸問題についてアーカイブズ学として何かできるのか、伝統的な議論とともに、新しい議論にも取り組んでいっていただきたいです。

 

5.アーキビストをこれから目指す方へ

アーキビストは、過去と現在の記憶と記録を後世に伝えるという重要な使命をもった、社会的に意義のある専門職です。過去と同時に、現在社会で起こっている諸問題と直接かかわっている仕事であることを意識してください。資格を取ったからといってすぐに就業機会に恵まれるというものではありませんが、決してあきらめることなく研鑽を怠らないでほしいです。

また、常に研究(理論)と実践(トレーニング)が求められる世界です。社会の問題から目をそらすことなく現在の状況を認識し、自分にとって必要な知識を更新し続けていってください。

 

青木祐一さん、ご協力ありがとうございました。

 

2022年7月青木祐一さんによる修正加筆

担当 高科真紀

 

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