本会は2025年7月に「政党及び立法府の文書管理に関するアンケート」の結果を公開した。今回の研究集会ではこのアンケート結果の分析を行い、政党・政治家文書の保存管理について、その現状と課題を議論する。
2024年4月の研究大会において、司法資料の保存と利用をテーマに企画研究会を実施した際、少年事件の記録や民事裁判記録の廃棄問題などで注目を集めた司法資料を素材に、公文書管理制度全体の再検討を視野に入れた議論を行った。司法府に続いて、2025年2月には立法府の文書問題を取り上げる研究集会を持った。行政府と合わせて三権それぞれの文書の現状と課題を捉えることは、今後の公文書管理制度のあり方全体を考えるうえで不可欠と言える。2月の研究集会では参議院及び貴族院の文書を中心に取り上げ、議論を深めた。
その結果、国会議員や政党の取組み状況や考え方をも調査・研究する必要があることが課題の1つとして浮かび上がってきたため、これまで実態がつかめていなかった政党の文書管理について、2025年5月~6月にかけてアンケートを実施することとなった。このアンケートでは政党の文書だけではなく、所属議員の文書管理や立法府の文書管理に関する考え方についても質問している。
そこで今回の研究集会ではそのアンケート結果についての報告と分析を行うと同時に、政党や政治家の文書を扱う立場からの報告を伺うこととする。
まず、アンケート項目の作成に携わった手塚雄太氏がその結果についての分析を報告する。次に、2018年3月に政治家個人に対して文書管理アンケートを実施したジャーナリスト松岡資明氏からその際の結果との比較分析を述べていただく。最後に、政治史研究者の佐藤信氏による、ブラックボックスとなっている政党文書の現状報告を受けて、研究素材としての文書の不在または不明という困難とその打開策について知見を共有させていただくこととする。
以上の報告に続いて、立法府並びに政党文書管理の課題について参加者一同で議論を行う。今回の研究集会は対面とオンラインのハイブリッド開催なので、奮ってご参加されたい。
日時:2025年12月14日(日)
場所:慶應義塾大学三田キャンパス第一校舎101教室+オンラインハイブリッド
次第:
14:00 開会。開催趣旨説明
谷合佳代子(エル・ライブラリー)
14:05 政党アンケート結果報告
手塚雄太(國學院大學)
14:35 ジャーナリストの立場から
松岡資明(元日本経済新聞社)
15:05 政治史研究の立場から
佐藤信(東京都立大学)
15:35 休憩
15:50 質疑・討論
17:00 閉会
https://keio-univ.zoom.us/j/