私たち、海外アーカイブズ・アーキビスト協会(AAA)調査研究SIGは、学会(JSAS)の認定をいただき、アーカイブズ学研究における未開拓領域であるAAA(Archivists and Archives Associations)に着目し、海外のAAAに関する基礎的データの調査・収集および発信を目的として、2024年4月より調査研究活動を進めています。2か月に1回程度の頻度でオンラインによる研究ミーティングを重ねてきましたが、その研究成果をひろく発信すべく、誰でも参加できる公開研究会(オープンSIG)もオンラインで開催しています。
2025年2月2日に開催した第1回では、先行研究に関する発表とともにカナダ・中国・米国の3か国を対象とした事例報告を行いました。* 続いて年が替わった2026年1月17日、2回目のオープンSIGを開催し、新たにイギリス・フランス・イタリアという欧州3か国の事例報告を積み上げることができました。
その報告内容は、会誌『アーカイブズ学研究』第45号(2026年12月発行)への掲載を予定していますので、ここでは、それぞれ印象的だったトピックを紹介します。
*第1回の内容は『アーカイブズ学研究』第43号でご覧いただけます。
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事例1 イギリス(U.K.及びアイルランド) アーカイブズ及び記録協会
Archives and Records Association(ARA)
報告者:白川栄美

イギリスでは、19世紀末の1890年に最初の団体が設立され、その後も設立が続きました。しかし、多くの団体の並立という状況は課題を招くことになり、2010年に全国アーカイブズ評議会(National Council on Archives)、地方自治体主任アーキビスト協会(Association of Chief Archivists in Local Government)、アーキビスト協会(Society of Archivists)の3団体が合併して現在のARAが誕生しました。このARAが承認するプログラムを提供する高等教育機関において専門課程(PGDipあるいは修士)を修了することでアーキビストとして「認定」され、その修了証がアーキビストとしての専門性を有する証明として認知されています。さらにキャリアサポートとして、専門職継続教育(Continuing Professional Development CPD)や専門職登録(Professional Registration)の制度を設けているそうです。
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事例2 フランスアーキビスト協会
Association des archivistes français (AAF)
報告者:大野綾佳

フランス・アーキビスト教育機構(Archivistes français formation、AFF)という「子会社」があるのだそうです。以前から専門職としての研修に力を入れており、1984年には研修センターを発足させました。同センターは研修等を実施する機関に求められる国内標準(Qualiopi認証)を取得し、さらに税法に沿ったものとするため、2008年に全株式をAAFが保有する株式会社としました。研修、出版、イベントの一部運営を担っており、2024年実績では、パッケージ型の研修138件・参加者1768人、カスタマイズされた研修38件にのぼります。
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事例3 イタリア・アーカイブズ専門職全国協会
Associazione Nazionale Archivistica Italiana(ANAI)
報告者:松崎裕子

ANAIの定款のなかで特徴的であったのが、「専門職業資格の証明と認証の制度」です。EUの 2005年「専門職業資格に関する指令」「PQD」(Professional Qualifications Directive)のもと、イタリア政府が定めた「2013年1月14日法律第4号」(非組織的専門職業に関する法律)に基づき、ANAI会員が提供するサービスの専門的質と資格に関わる証明と登録を行うものです。「国家による免許」ではなく、国家標準(UNI)に整合した専門職の職能定義を採用し、ANAIがその質を担保する、というのがイタリアでのアーキビストのあり方。そのための専門教育・研修事業に力を入れ、そこからの収益がANAIの活動を支えるという循環でもあるようです。